「かぐや姫の里」で一輪の蓮がそっと咲いたあの日から、
心の中にずっと残っていた光景があります。
それは──かぐや姫が月に帰る瞬間。
今度は、そのイメージを竹林の中で形にしてみようと思いました。
あの時と同じ、静かな竹林の背景。
そこに、まるで夜空に浮かぶ星々のような輝きをまとった蓮の花。
そしてその上に、ゆっくりと昇っていく、十二単をまとった美しい女性の姿。
そうです。これは「かぐや姫の昇天」。
竹の中から生まれた神秘の姫が、
いま、再び月の世界へと旅立とうとしています。
彼女を包む光はまるで浄化のようで、現実の景色が夢に変わるような瞬間です。
この作品には、いくつかの素材を組み合わせました。
幻想的な蓮のきらめき、平安時代の十二単を纏った女性、そして深く静かな竹林。
どれもが「かぐや姫」の物語を彩る要素として、自然に溶け合っています。
映画『竹取物語』で描かれた蓮風の宇宙船のイメージとも重なり、
蓮は単なる花ではなく、月と地上をつなぐ舟のようにも見えてきます。
この写真を見ながら、私の中では確かに「里」と「昇天」がつながりました。
一輪の花から始まった幻想が、いま、空へと昇ってゆく──
そんな時間の流れを感じてもらえたら、とても嬉しいです。
もしあなたが、ふと空を見上げることがあったら、
そこに小さく輝く月の光の中に、かぐや姫の姿が重なるかもしれません。