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墓碑銘(エピタフ)

エピタフ(墓碑銘)「クリムゾン・キングの宮殿」より

3曲目「エピタフ(墓碑銘)」

Epitaph
Including March For No Reason and Tomorrow And Tomorrow

ドラマティックな曲です。最初聴いた時から、驚愕・心酔してしまいました。自分の Epitaph をイメージ・ジャケットで作ろうかと思ったのですが、恐くなって止めました。

Confusion will be my epitaph.
As I crawl a cracked and broken path
If we make it we can all sit back and laugh.
But I fear tomorrow I'll be crying,
Yes I fear tomorrow I'll be crying.

(詞:ピート・シンフィールド)

  1. 21世紀のスキッツォイド・マン
    21st Century Schizoid Man (including "Mirrors")
  2. 風に語りて
    I Talk To The Wind
  3. エピタフ(墓碑銘)
    Epitaph
    including "March for No Reason" and "Tomorrow and Tomorrow"
  4. ムーンチャイルド
    Moonchild
    including "The Dream" and "The Illusion"
  5. クリムゾン・キングの宮殿
    The Court of the Crimson King
    including "The Return of the Fire Witch" and "The Dance of the Puppets"

21世紀のスキッツォイド・マン

キング・クリムゾンの宮殿〜風に語り手エピタフ(墓碑銘)

シド・スミス著『キング・クリムゾンの宮殿〜風に語り手』より

構成しているパートをもっと単純に分割していた「21世紀のスキッツォイド・マン」とは違って、この曲はどの部分を誰が書いたかについて競いあっているようなところがある。マクドナルドが自分の作品であるメロディとメインのコードを温めていて、主旋律を作り上げるのに貢献したことは確かだ。

ただフリップはきっぱりと言う。この作品は共同制作だ。それだけだ」

"Tomorrow I'll be crying"の部分は、5月27日火曜日のバンドのリハーサルのときに出てきた。マクドナルドは、6月6日金曜日までに「ケイデンスと力スケイド」と「工ピタフ」のリード・シートを書くためにすでに何日かを費やしていた。

そしてその後、この曲がこの日に最終的に仕上げられたと考えるのが公正であるように思う。歌の部分は、7月30日水曜日に10時間もかけてレコーディングされた。セッションは、11時半を少し過ぎたあたりから開始された。

マクドナルドは、前夜からスタジオに出ていてほとんど睡眠をとっていなかった。バック・トラックを録るのが難しかったのは、疲れていたことが要因だったかもしれない。

この曲は、当時地球全体がそれに向かって進んでいた、冷戦という危うい状況下の重苦しい考えを歌っている。作品自体が、最後の審判を背負わされたような内容にもかかわらず、不安にさせる一方で、畏敬の念を起こさせるような美しさをもち、レコーディングされた日と同じ新鮮さを保っている。

レイクは、この歌詞を歌うために生まれてきたようで、彼の表現力と歌い方は申し分がない。そして彼のキャリアは、この一流の作品によって助けられていると言ってもいい。

しかし当時、平均23歳のかなり未熟なグループはほとんど期待されていなかった。「工ピタフ」の構成と成熟度は、ほぼ間違いなくこのアルバムの中心でもある、乱雑さと精緻さを合わせもった曲の力によるものだ。

メロトロンの刺激とマイケル・ジャイルズのしっかりとしたドラム・サウンドがこの曲の支えとなっている。とはいえジャイルズが自分の貢献度の評価に同意しているわけではないが……。

「その記名性が、サウンドではなくて演奏の中にあってほしいね。これは僕が求めたサウンドではないんだ。それはキング・クリムゾンにいたほんの短い間に僕が常に失望させられていた何かなんだ。モーガンでのこの2回のセッションを除けば、ウェセックスで行なったセッション、もしくはトニー・クラークとしたすべてのことは押しつけられたものだった。僕の考えではあのドラムキットはそれほどでもないよ」

オープニングとクロージングでのティンパニはふっと現れる。別のセッションで残されていたものだ。それらは曲に幅やスケールを与える。もちろんここで初めてドラマティックに演奏されたメロトロンもある。ぞ<っとするような素晴らしい瞬間のひとつは、レイクが"Upon the instruments of death/the sunlight brightly gleams"と歌うとき、最初の句が始まる瞬間に起こる。

メロトロンが、不安な感覚や悲観的な感じを強調する無気味なストリングス・サウンドと、ヴォーカルの下に広がる。

もしこの曲でのマイケル・ジャイルズのドラム・サウンドが、他の曲とは異なったものとなっているとしたら、それは情熱的な点ではないだろうか。

「アルバムで僕の好きな曲だと思う。美しく構成された曲であるし、グレッグにとっては完壁に彼の素晴らしさを生かした曲だ。僕は、グレッグのベスト・ヴォーカル・パフォーマンスだと思う。悲運を背負っているような曲だが、なかなか美しい曲だと思うよ」

レイクは、彼自身が特別に気に入っている曲だと語っている。

「強く感性に訴える曲だと思う。そこには哲学があり、ある意味で、社会の裂け目にあるような多くの感情を包み込んでいる。当時、ラヴやフラワー・バワーといったものに対して理想的な意見があった一方で、皮肉な考えもあったんだ。そしてあの曲は、純真さをもったあの時代の特徴を表わしている。上手く歌えたかどうか……苦労したんだ。

あの頃の自分のヴォーカルを聴き返してみると、とても経験が乏しいように聴こえるんだ。その後、僕は歌うために必要なテクニックはすべて見つけだした。だから僕はたじろぐんだ。そして"ちくしょう、おまえはもっといい歌を歌えなかったのか"って思うんだ」

〈理由なき行進〉のセクション(4分15秒あたり)には、ぼんやりとした危機感があって、今にも爆発しそうな激しいアレンジによる木管楽器が挿入されている。この緊張感が続く間、ドラムを打つ音と、切りつけるようなアコースティック・ギターが交互に顔を出す。

それがエコーで囲まれるように絡みつき、ステレオ・ミックスによって交互に聴こえてくる。この部分は、その直接的な影響についての意見をクリムゾンのメンバーは断固拒否していたが、ムーディー・ブルースの1967年の叙事詩「サテンの夜」を連想させる。

そのミドル・エイトの部分には、レイ・トーマスのフルートのソ口が入っている。現在まで「工ピタフ」は厳しくコントロールされてきた。けれどもレイクが最初の物悲しそうな詩の録り直しを行なってかからは、プレイすることはオープンになった。

〈明日又明日〉の最初の部分(6分56秒あたり)で、マクドナルドはメロトロンで焼けつくようなラインを奏で、ジャイルズは盛り返すかのようなドラムを打ち鳴らす。メロトロンはここでは冷ややかな美しさをもって揺らめき、とりわけ効果的だ。

「工ピタフ」と「クリムゾン・キングの宮殿」のミックスの間、マクドナルドは、メロトロンが安定して聴こえるようなテクニックを身につけた。
「僕はフェーダーが2つのチャンネルの間で絶え間なく動くように保った。物体に対して力を与える波のように互いに揺れ動いているんだ。注意深く聴いたら、ストリングスがわずかに動きをもっているはずさ」

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