こんにちは。今回の「和花写流」は、ちょっと趣向を変えた一枚。
第4作目となる[和花写流4]では、私があるCG作品に出会った瞬間から生まれた、ちょっとした“ひらめき”がきっかけになっています。
それは、まるで宙に舞う蝶のような、美しく繊細なCGのラインアートでした。
その姿を見た瞬間——
「これ、髪飾りにしたら、きっと素敵だろうな」
そんな思いが浮かび、気がつけば舞妓さんの後ろ姿にそっと重ねていました。
古典と未来がすれ違う瞬間
舞妓さんの美しいうなじ、整えられた髪に差す花簪(はなかんざし)。
そこに、未来的な色彩と形状をもつCGの蝶が重なることで、
まるで伝統と未来が一瞬だけ同じ時を通り過ぎたような、不思議な余韻が生まれました。
この蝶は、ただ飾りとしてあるのではなく、
「見えない心情」や「まだ言葉にならない願い」を象徴しているようにも感じます。
華やかな表の顔と、その奥にある静かな想い。
そんな舞妓という存在の“揺らぎ”までも、この蝶が映し出してくれているようでした。
彼方には富士山、空には夢
背景に選んだのは、茜色に染まる雲海と富士山の稜線。
まるで舞台の幕が上がる瞬間のような色彩に、蝶の髪飾りが浮かび上がる構成です。
舞妓の背中ごしに広がるこの風景は、彼女自身がまだ見ぬ未来、
あるいは夢の舞台を象徴しているのかもしれません。
重ねたCG、人物、風景。
それぞれが異なる次元に属しながらも、ひとつの画面の中で不思議な調和を保っています。
「和花写流」という実験の中で
この作品は、生け花的な構成からは少し離れ、
むしろ“飾るということの意味”そのものに踏み込んだ試作となりました。
美しくなるための飾りは、単なる装飾ではなく、
自分の心を支えたり、夢を宿したりする器にもなり得るのだと、
このコラージュを通してあらためて感じました。
夢を、髪に飾る。
未来を、うなじの奥に描く。
[和花写流4]は、そんな幻想と静寂のあいだに生まれた一枚です。
ご覧いただき、ありがとうございました。
次回作では、また違った角度から「和の心」を探ってみたいと思っています。
どうぞお楽しみに。