※本ページにはプロモーションが含まれています。

【ピンク・フロイド】エコーズ青の洞窟(2013年撮)

1972年3月6日、ピンク・フロイドが東京都体育館で行ったライブは、私にとって至福の瞬間そのものでした。特に『エコーズ』の演奏は、決して忘れることができません。

サラウンドシステムによる音響効果で、最初のピアノの一音が、まるで視覚的なモヤとなって私の元へ届いた感覚は、今でも鮮明に覚えています。この夜は、ピンク・フロイドの音楽を全身で体感した忘れられない瞬間として、私の心に深く刻まれています。

さらに、『狂気〜The Dark Side Of The Moon』が、リリース前に日本で初めて演奏された特別な日でもありました。

ピンク・フロイド 東京都体育館ライブ 1972.3.6

『エコーズ』——忘れられない思い出
1972年3月6日のピンクフロイド東京都体育館コンサート

『エコーズ』は、第二部最後の曲でした。

ロジャー・ウォーターズがベースを手放し、オルガンの前に座り、キーボード担当のリチャード・ライトが電子ピアノの前に座ります。そして、ロジャーがただ一言「Now Echoes」とつぶやき、電子ピアノの一音が響きました。

あれはサラウンドシステムの音響効果だったのでしょうか。『エコーズ』の最初のピアノの一音が、まるで黄色いモヤのように私の席に飛んできたのです。現実に音がモヤになったかのように、視覚的に感じた瞬間でした。

私の席は、会場の半分より少し後ろの中央あたりで、音響的に良い位置でした。

1972年ピンク・フロイド東京都体育館コンサート第一部

野球場の照明のようなステージ左右に設置されたライトに照らされ、リチャード・ライト、ニック・メイスン、ロジャー・ウォーターズ、デビッド・ギルモアの4人が、それぞれの持ち場に着きました。驚いたことに、誰一人として手を振ったり、観客を見たりすることはなく、挨拶もなく、まったくの無言……

彼らはおもむろに楽器をチューニングするかのように音を出し始め、そのまま約1時間、休むことなく演奏を続けました。そして、4人は誰も何も語らず、静かにステージを去っていきました。

英語がわからない私は、何が起こっているのか全く理解できず、気がついたら1時間が過ぎていた、そんな感覚でした。

その後、糸居五郎さんが登場し、演奏された曲が新曲『The Dark Side Of The Moon』であることを知らされました。しかし、説明を聞いたところで、まさに「後の祭り」で、私は狐につままれたような気分でした。

当日、会場では『月の裏側-もろもろの狂人達の為への作品-』という歌詞カードが配布されていたとのことですが、全く記憶にありません。

The Dark Side Of The Moon(狂気)

狂気〜The Dark Side Of The Moon
※リリースされたのは1年後の1973年3月
01. Speak To Me
02. Breathe
03. On The Run
04. Time
05. Breathe (Reprise)
06. The Great Gig In The Sky
07. Money
08. Us And Them
09. Any Colour You Like
10. Brain Damage
11. Eclipse

 

 

(糸居五郎さんのアナウンス後、休憩)

 

1972年ピンク・フロイド東京都体育館コンサート第二部

  • One Of These Days(吹けよ風、呼べよ嵐)
  • Careful With That Axe, Eugene(ユージン、斧に気をつけろ)
  • Echoes(エコーズ)

第二部では、何度もレコードで聴いた曲が演奏され、心ゆくまで楽しむことができました。『吹けよ風、呼べよ嵐』や、ロジャーの不気味な叫び声が印象的な『ユージン、斧に気をつけろ』、そして、最初の電子ピアノの音が鮮烈な『エコーズ』が心に残ります。

(糸居五郎さんのアナウンスによりアンコールへ)

1972年ピンク・フロイド東京都体育館コンサート アンコール

アンコールは『神秘』でした。あの渦巻くような音は、ギルモアがギターのカタポストを弦に押し付け、円を描くようにして出していたものです。

A Saucerful Of Secrets(神秘)

スタジオ録音版にはない、孤高のギルモアの声が印象的でした。

なお、同じ1972年に行われた『ピンク・フロイド ライブ・アット・ポンペイ(1972.9)』では、1972年東京都体育館コンサートと全く同じ曲目が演奏されています。同じ年のライブですから当然ですが……

この映像は今もなお、1972年東京都体育館コンサートの鮮やかな記憶を私の中に刻み続けています。

【Pink Floyd Live at Pompei】
ピンク・フロイドの「ライブ」を収録した映像ドキュメンタリーで、監督はエイドリアン・メイベンです。イタリアのポンペイにある遺跡で、観客なしでライブが行われ、1972年9月に一般公開されました。

そして、2008年9月15日に亡くなったリチャード・ライトのキーボードと優しい声が、今も私の心に深く響きます。

伝説の夜!ピンク・フロイドのエコーズ[まとめ]

1972年のピンク・フロイド東京都体育館ライブは、音楽史に残る伝説的な夜でした。
『エコーズ』をはじめとする名曲は心に深く響き、今もなお鮮やかに脳裏に焼き付いています。

このライブは、『エコーズ』を演奏しただけでなく、『狂気〜The Dark Side Of The Moon』がリリース前に日本で初めて演奏された特別な日でもありました。

同年に行われたポンペイでのライブとも重なり、映像を見るたびに、あの特別な夜の感動が蘇ります。ピンク・フロイドの音楽は、時を超えて私たちに語りかけ続けています。

おすすめの記事