堕天使 Fallen angel とは!
ミルトン『失楽園』によれば、ルシファーは神の子(イエス)に追従したくはありません。
言葉巧みに仲間を集め、天使間のアルマゲドンともいうべき戦争を起こし、神の子に地獄へ突き落とされます。
この地獄は、地球ではありません。
かつて天使の中でも一番輝いていたルシファー、堕天した後の名が「サタン」です。
サタンはこの地獄から、神が作られた新しい世界(地球のエデンの園)を目指します。
そして、蛇となり、イヴを誘惑します。
A面
- Red
- Fallen Angel
- One More Red Nightmare
B面
- Providence
- Starless
Robert Fripp (G, Mtn)
John Wetton (Vo, B)
David Cross (Vln)
Bill Bruford (Per, Ds)
Mel Collins (S)
Robin Miller (Oboe)
Mark Charig (Cornet)
『キング・クリムゾン』TOKYO FM出版より
誰もが感じたであろう〈当時の衝撃〉を実によくまとめ、わかりやすく書いてあります。だから、そのままここに掲載しておきます。
しかし、A②『Fallen Angel』に触れてないのが個人的には残念です。
アルバム『RED』解説
ロバート・フリップ、ジョン・ウェットン、ビル・ブラフォードという最強トリオ編成によるクリムゾンが74年10月に発表した70年代最後のスタジオ録音盤。
イアン・マクドナルド、メル・コリンズ、デヴィッド・クロスという3人の元メンバー、そして『Lizard』や『Islands』にも参加していたロビン・ミラーとマーク・チャリグがゲストとして助演している。
オリジナル・メンバーだったイアン・マクドナルドの参加は特に耳目を集めたが、レコーディングの時点では彼は正式メンバーとしてクリムゾンに復帰することになっていた。
つまり、アルバム発表直前のフリップの突然の解散宣言さえなかったら、マクドナルドを含む4人編成のニュー・クリムゾンが実現していたわけだ。
イラストが使われることの多かったクリムゾンのアルバムとしては初めてメンバーのポートレイトを使用したジャケット・カヴァー(『Meet The Beatles』を連想させる)もファンを驚かせたが、それよりも裏ジャケットの針がレッド・ゾーンを指しているメーターの写真が話題を呼んだ。
「70年代版クリムゾンの終局を意味している」とか「当時のグループが置かれていた極限的な状況を象徴している」という説もあったが、「錬金術では"赤"は探究の究極の果てを意味している」などという錬金術説もあって、深読み惑溺癖のある世界中のクリムゾン研究者たちを大いに騒がせた。
フリップ自身が「メタル・サイド」と呼んでいるAサイドでは、フリップのディストーション・ギターをフィーチュアしたA①が『クリムゾン・キングの宮殿』のA面の1曲目「21世紀の精神異常者」を思い起こさせる。
さらにポール・マッカートニーばりの『抒情的なバラードA②のデッドエンドな歌詞をはじめ、A③の"赤い悪夢"やB②の"星ひとつなく聖なる暗黒"など、本人によれば「自我を喪失していた」という当時のフリップの精神状態を象徴しているようなフレーズが目立っているのも気になるところだが、初期の名曲「Epitaph」を連想させる壮大なメロトロン・ナンバーB②でのセルフコンシャスな総括的アプローチによって代表されるように、音楽的にはクリムゾンの集大成とも言えそうな"遺作"に仕上げられている。
60年代の『クリムゾン・キングの宮殿』や80年代の『Discipline』と並ぶ70年代クリムゾンの最高傑作であることは間違いないだろう。