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リザード/ルパート王子の目覚め

アルバム「リザード Lizard」(B面)

キース・ティペットのピアノの美しい響き!
「Farewell〜」
何といっても、ジョン・アンダーソンのボーガルが透明感があって素晴しい。

「ルパート王子の目覚め」にピッタリです。

また、ジャズ風アレンジ、物語要素満載で
とてもファンタスティック!

(ジャケット帯)
悠久の煌めきを湛えるメロトロン・サウンドと
前衛的ジャズ・ロック・サウンドの対比が生み出すダイナミズム!

他のクリムゾン作品では味わえない
ガラス細工のようなサウンドが魅力の1枚。

Farewell the temple master's bells
His kiosk and his black worm seed
Courtship solely of his word
With Eden guaranteed
For now Prince Rupert's tears of glass
Make saffron sabbath eyelids bleed
Scar the sacred tablet of wax
On which the Lizards feed

Robert Fripp (G, Mtn, Kd, Devices)
Mel Collins (FI, S)
Gordon Haskell (Vo, B)
Andrew McCulloch (Ds)
Pete Sinfield (Words)
Robin Miller (Oboe)
Mark Charig (Comet)
Nick Evans (Tb)
Keith Tippett (Kd)
Jon Anderson (Vo)

キング・クリムゾン リザード

『キング・クリムゾン』TOKYO FM出版より

『キング・クリムゾン』(TOKYO FM出版)を本を読んでみた。誰もが感じたであろう〈当時の衝撃〉を実によくまとめて書いてあります。だから、そのままここに掲載しておきます。

アルバム『リザード』解説

『キング・クリムゾン』TOKYO FM出版フリップとシンフィールド以外のメンバーを入れ替えた新たな布陣によるサード・アルバム。

全曲がフリップ&シンフィールドの作品であり、イエスのジョン・アンダーソン、キース・ティペット、ロビン・ミラーら5人のゲスト・ミュージシャンたちがそれぞれに重要な役割を果たしている。

パーマネントなバンドのアルバムというよりもフリップ&シンフィールドのためのプロジェクトによる作品集という印象が強い。

フリップはギターよりもむしろメロトロンを多用し、フルート、オーボエ、コルネソトなどを含むジャジーなアンサンブルをメランコリックにバックアップしている。

LPのB面全体を占める組曲「Lizard」も含めて、前2作で試みた誇大妄想的にドラマティックな構成をあえて避けたせいもあって、一度や二度、聴き流した程度では全体を把握できないファジーな構造のアルバムになっている。

が、フリップによれば「何度も聴き続ければ、24回目には打ちのめされる」ように作ってあるそうだから、ファンとしてはそれに挑戦しないわけにはいかない。

キング・クリムゾンの宮殿〜風に語り手「ルパート王子のめざめ」

シド・スミス著『キング・クリムゾンの宮殿〜風に語り手』より

(a)Prince Rupert Awakes (Fripp, Sinfield)

クリムゾンとイエスとの関わりは、ゲスト・ヴォーカルにジョン・アンダーソンを迎えることによって強くなった。フリップとシンフィールドに招かれ、アンダーソンは素早く作業し、セッションの終わり頃には、彼のバートはオーヴァー・ダビングされていた。

ハスケルの声はこの曲にはふさわしくないことを2人は知っていたし、またハスケル自身もレコーディングに参加しようとしていなかった。

第2のコーラスが、尻込みしているようなギター・パート——予定の音を演奏してから、テープを回転させることによって得られた——の最初の出現を特徴づけているが、これは、ビートルズが行なった複雑なスタジオでの駆け引きに影響を受けている。

その少し後にアンダーソンの言葉のないコーラスが弱々しい手拍手の上に満ちてくるという、同様のテクニックが施されている。

“壮大さがある反面、この曲には軽い瞬間がある”とフリップはメロディ・メイ力一紙のリチャード・ウィリアムズに話している。

「この前ゴードンが、僕たちが——とりわけ僕だ——音楽的な側面に対して真面目すぎるんじゃないかって心配している、って僕に言ったんだ。

それはある程度当たっていると思う。僕は自分たちのしていることを心から信じていて、関わっているすべての人たちを非常に信頼している。

でもそれと同時に僕たちはちょっとだけ自分たち自身をだますんだ。曲が少し重くなりすぎる瞬間に気づいているっていうことを示すためにね。

たとえば、新しいアルバムの〈リザード〉の一部にそのセクションがある。ティンパニの口ール音やシンバルのガチャガチャ鳴る音、グランドピアノを備えたハリウッドの弦楽団が演奏をするところだ。

それで僕たちは第2のグランドピアノの演奏をその上にかぶせた。確かにやり過ぎたと思う。でも僕はそれを今でも楽しめるよ。これはたぶん僕の悪趣味についての解説だろうけど、同時にとても感動的で愉快なことだと思うんだ」

レコーディングから何年か経ち、99年にこのアルバムをリマスタリングしている間には、いくらかユーモアの効果がなくなっていた。フリップはこの「ルーパート王子のめざめ」について辛らつな発言をした。

「ルパートはその日寝ていることもできたのに……」

「ピーコック物語のボレ口」

(b)Bolero - The Peacock's Tale (Fripp)

クラシックで使われている楽器がジャズや口ック・ミュージックに取り入れられるのはとりわけ目新しいことではない。サックス奏者のユセフ・ラティーフは50年代後期にオーボエを演奏に取り入れ、周りを驚かせた。

カール・ジェンキンス(のちにクラシソク音楽とのクロスオーヴァー、アディエマスで国際的成功を手にした)は、ジャズ界のリーダー、グレアム・コリアーと、そして60年代後期にはイアン・カーズ・ニュークリアスと共演してしいた。

ここでオーボ工は口ビン・ミラー(ピ工ール・ブーレーズ指揮によるBBC交響楽団の元主席オーボ工奏者だった)によって美しく演奏されている。ミラーがステファニー・ルーベンの妹と結婚していることから、彼の参加が決まった。

アルバムへのフリップの辛練で容赦ない意見はこの曲では和らいでいる。

ミラーは、「ピーコック物語のボレ口」の一部はすべて彼のためにフリップが書き、2人で何が必要なのかについてよく話し合ったことを覚えている。そしてフリップは、驚くべき長さと純粋さを持った音を作り出すミラーの能力に非常に熱心だったという。

ここでフリップは指揮者もしくは音楽総監督の役割を務め、メイン・テーマの思慕の美を支えている、優しく自己追想的なメロトロンで貢献している。

とはいえこの曲も、(ミラー以外の)ソロイストの演奏がわずかに抑制されていることに苦しめられている。この問題は彼らの能力というよりは、むしろフリップとシンフィールドの録音の仕方にある。

ニック・工ヴァンスは語る。「インプロヴィゼーションの部分は“セクション”ごとに録られたんだ。自分のインプロヴィゼーションのスタイルが、アルバム全体の構造やフィーリングに合っているかどうか、セクションごとに録音状態が確認されたんだ」

それにもかかわらず、チャリグの激しい攻撃が、メンバーのティペットとエヴァンスと(7分50秒から)ぴったり噛み合うところなど、曲につかのま火がつくところもある。

しかしピアノが抑えきれずに急上昇しそうなるところで、その興奮が編集によって短縮され(8分44秒)、新しいテーマがエヴァンスとコリンズによって立ち上げられている。

 

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