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アルバム「ポセイドンのめざめ」
Epitaph(エピタフ)の続編というべきか!本編というべきか!
キング・クリムゾン、セカンド・アルバム!
(ジャケット帯より)
「宮殿」の音楽性を継承しつつも、ジャズ・ロック要素を
大胆に神した方向性を提示した人気作!
ピート・シンフィールドの詞は、鬼気迫るものがあります。
Two women weep, Dame Scarlet Screen
Sheds sudden theatre rain,
Whilst dark in dream the Midnight Queen
Knows every human pain.
In air, fire, earth and water
World on the scales.
SIDE A
- 平和 / 序章 – PEACE - A BEGINNING
- 冷たい街の情景(インクルーディング:トレッドミル42番街[8]) – PICTURES OF A CITY (including 42nd at Treadmill)
- ケイデンスとカスケイド – CADENCE AND CASCADE
- ポセイドンのめざめ(インクルーディング:リブラのテーマ) – IN THE WAKE OF POSEIDON (including Libra's Theme)
SIDE B
- 平和 / テーマ – PEACE - A THEME
- キャット・フード – CAT FOOD
- デヴィルズ・トライアングル – THE DEVIL'S TRIANGLE
(i) マーデイ・モーン – (a) MERDAY MORN
(ii) ハンド・オブ・セイロン – (b) HAND OF SCEIRON
(iii) ガーデン・オブ・ワーム – (c) GARDEN OF WORM - 平和 /終章 – PEACE - AN END
Robert Fripp (G,Mtn)
Greg Lake (Vo)
Peter Giles (B)
Michael Giles (Ds)
Mel Collins (FI, S)
Gordon Haskell (Vo)
Pete Sinfield (Words)
Keith Tippett (Kd)
「ポセイドンのめざめ」について
『キング・クリムゾン』(TOKYO FM出版)を本を読んでみた。誰もが感じたであろう〈当時の衝撃〉を実によくまとめて書いてあります。だから、そのままここに掲載しておきます。
アルバム『ポセイドンのめざめ』解説
1970年5月にリリースされたセカンド・アルバム。
イアン・マクドナルドを除くオリジナル・メンバー全員がとりあえず参加しているものの、すでにマイケル・ジャイルスはマクドナルドと共に『マクドナルド&ジャイルズ』を結成しています。
また、グレッグ・レイクも『EL&P』への参加を表明している分裂状態でのレコーディング。
キース・ティペット、ピーター・ジャイルズ、アンディ・マックローチ、メル・コリンズ、ゴードン・ハスケルらも参加して、新旧のメンバーやゲストが入り乱れている。
ギリシャ神話やアトランティスなどをモチーフにしたコンセプチュアルなアルバムだが、前作『クリムゾン・キングの宮殿』の構造をほぼ忠実に踏襲した双生児感覚の姉妹作であり、特にA②一④は前作での「21世紀の精神異常者」「風に語りて」「Epitaph」という劇的な展開に正確に対応している。
もちろんホルストの「火星」をモチーフとする組曲形式のB③など新たな試みもあり、過渡期の混乱の中で制作さたとはとても思えぬ緊張感と完成度をを維持しているところはさすがキング・クリムゾン。
ボセイドンのめざめ
シド・スミス著『キング・クリムゾンの宮殿〜風に語り手』より
(Fripp, Sinfield)
豊かに高まっていくテーマ部分は、ファースト・アルバムの「エピタフ」やタイトル曲「クリムゾン・キングの宮殿」の記憶を即座に刺激してしまうことを否定できない。
こうしたハンディキャップがあるにもかかわらず、気品のあるコードは輝くばかりの崇高さをもっている。
グレッグ・レイクの声はこの曲をある種聖歌のようにしている。レイク以外に、ここで聴けるようなインパクトと説得カをもった他のシンガーをイメージすることは難しいだろう。
『ポセイドンのめざめ』のリリース後にNME紙のニック・ローガンに語ったところによれば、シンフィールドは、詩と、アルバム・カヴァーのディ・ヤンによる絵の調和には、安易に、そして簡単に出てきたものではない"何か"があるということを確信したという。
「この詩は25回も書き直したんだ。ジャケットに描かれている顔について、曲の中で触れている。2ラインごとに1つのキャラクターについて語っているんだ。アルバム・カヴァーを描いたアーティストによれば、そのアイデアは4つの要素——土、風、火、水——のコンビネーションから来ていて、カヴァーに描かれた顔は、12タイプの原型だという」とシンフィールドは語る。
タイトルにある"リブラ(天秤座)"という言葉は、"均衡"という概念を強調しているが、単に詩的な隠喩だけではない意味をもっている。
メロトロンの冷ややかで重苦しい厳粛さと、直観的に繰り返して入るアコースティソク・ギターとドラムのコントラストは、世俗的なものと宗教的なもの、機械的なものと人間的なもの、思いやりのあるものと貧欲なものといった物事における、バランスのとり方と公平さの必要性を表わす、異なったメタファーを提供しているようにも思える。
印象的な音階にもかかわらず、〈リブラのテーマ〉の間には(フリップによる)エレクトリック・ピアノの、威厳のある揺らめきや、最後の詩にかかる2音のフィンガー・シンバル、そして聖歌の壮麗さの中にドラマティックな要素を持ち、それに高く回転しながらかかる、レイクによる別れのコーラスなど、細かいところでいくつかのポイントがある。